いつのころからか、私たちが暮らす町でも、公共空間からベンチが少なくなり、替わりに北欧風のかわいらしいオブジェが置かれることが増えました。
しかし、そのオシャレなオブジェには、人々が集まり、座って話をしたり、おにぎりを食べたり、お酒を飲んだりすることはできません。また、残された少ないベンチには、手すりが設置され、仕切りを付けられ、鋲が打たれて、疲れた人が体を横たえて休むことはできません。
そこに「ホームレスは利用禁止」と書かれた標識が掲げられているわけではありませんが、これらは明確にホームレスの人を排除するための装置として機能しています。ホームレスの人が集まることを嫌う人たちがいます。子どもが使う公園にいるホームレスの人を怖がる人たちもいます。そのような人たちの声を受けて、あるいはそれを忖度して、こうした「排除ベンチ」は誕生しました。
排除されたホームレスの人は、消えていなくなるわけではありません。どこか別の場所で生きていくことになります。その行く先でも新しい排除が起きるかもしれません。では、どうすればいいのでしょうか。どう考えたらいいのでしょうか。
今回のシンポでは、見えにくくソフィスティケイトされた、しかし社会を覆い人々が内面化してしまっている社会的弱者に対する排除を可視化し、それを克服して社会が連帯するための知恵を出し合うきっかけを作りたいと思います。
公共空間に何を置きたいか、公共空間がどんな場であって欲しいかということは、私たちがどんな社会に住みたいかということに連なっています。本来、広場は、様々な人々が自由に集まり、時には、飲食をしながら、様々な話題について話す、民主主義を支える場であったはずです。どのような属性の人も、民主主義から排除されることがあってはならないのではないでしょうか。
このような問題意識から、第1部では、排除ベンチに知見のある研究者の五十嵐太郎さんに基調講演をお願いしました。第2部では、排除ベンチの排除に成功した地方議員の江口友子さん、多摩地域で、生活困窮者の支援活動をしている田中のり子さんをパネリストに加え、それぞれの立場の実践をお聞きし、日頃感じている問題意識等を共有するとともに、活発な議論を行う予定です。社会的排除のあり様に目を向け、誰もが安心して暮らせる共生社会について考える機会となれば幸いです。
【日時】
2024年12月7日(土)14:00~17:00(13:30開場予定)
【場所】
東京三弁護士会多摩支部 ひまわりホール(事前申込制・先着90名)
(立川市緑町7-1立飛ビル8号館2階 *多摩都市モノレール高松駅 徒歩1分)
オンライン(Zoomウェビナー)参加可(事前申込制・先着500名)
【シンポジウム構成】
第1部:基調講演(講師:五十嵐太郎 氏[東北大学大学院教授]、約1時間)
第2部:パネルディスカッション(質疑応答含め約2時間)
(コーディネーター:弁護士1名 パネリスト:五十嵐氏を含む3名)
<パネリスト>